近年、社会環境が大きく変わりつつあります。医療を取り巻く情勢も例外ではなく、地域の医療機関にも大きな変革が求められています。現在、地域医療構想から地域医療計画が策定される途上にあり、地域医療を担うすべての医療機関の機能分化と連携が強く求められています。すなわち、当院(渡辺病院)、当法人では心の医療分野、高齢者ケアにおける専門性を常に高めながら、他の医療機関と役割分担をしつつも一層緊密な連携を続けてゆくことが重要なテーマとなります。
当院の主要な専門分野である心の医療は、医療法において5疾病の一つに位置付けられ、地域医療における重要な疾患との認識が定着してきました。複雑多様化する現代社会において、質の高い「心のケア」が迅速かつ適切に行われることは、時代の大きなニーズでもあります。当院は10歳前後の若い年代から100歳近い超高齢者まで、年間1,000人を超える初診患者、月間延べ4,000人の通院患者、1日平均約300名の入院患者の診療にあたっています。これらの患者さんの一人ひとりの病状に多職種連携のもと、迅速かつ丁寧に治療にあたり、地域における健康の基盤を支えることを通して社会に貢献することが、当院の使命と考え、当院は地域医療の中で役割を担っています。
さて、2018年4月には、当院が1953年4月に鳥取市東町3丁目の現在地に病院を開設して65周年を迎えました。当院はこれまで、地域医療のニーズに合わせ、西館、北館、中央南館、南館、新南館の新築ならびに本館および東館の改修を約30年間、6次にわたって行ってきましたが、2015年度から2017年度の3年間、旧基準で建てられた建物の耐震性を高めることを含め、20年~30年後の未来の地域医療の姿を見据えた増改築整備事業を行い、2018年3月には無事3年間にわたる工事の竣工を迎えることができました。当法人は、2000年4月、当時急増していた高齢者の治療・リハビリテーションのニーズの高まりにお応えする形で、分院(ウェルフェア北園渡辺病院:現在360床)を開設いたしましたが、本院(渡辺病院)としてはこのたびの事業が病院の65年の長い歴史の中で最大規模であり、今後、変化するであろう未来の医療の姿を見据え、地域で求められる医療に十分にお応えできるように構想を進めてまいりました。とくに、高齢化が進む地域社会にあって、「心の医療」「高齢者ケア」の分野で、多職種連携のもと緻密で暖かい専門医療がタイムリーに提供できるようにこれからも日々努力を重ねてまいりたいと存じます。
2008年10月、当法人は、高い公益性が求められ公的医療機関と同等の地域医療への責任をもつ「社会医療法人」として全国で3番目の早い時期に認定を受けました。社会医療法人としても10周年を迎える今、法人スタッフ一人ひとりが誇りと使命感をもって皆様に質の高い医療・福祉サービスをお届けするとともに、法人として新たな時代の要請にも迅速かつ的確に対応できる医療環境づくりを通して、地域に一層貢献して行けるものと確信いたします。
理事長 / 渡辺病院 院長
渡辺 憲
(わたなべ けん:1980年東京大学医学部卒業、2013年~鳥取県医師会副会長)
2013年より、『こころの医療』は、地域医療計画における5疾患病の一つに位置づけられました。地域医療、福祉が入院から在宅へ舵を切りつつあるなか、当院で質の高い多職種連携の専門チームで外来・入院と一貫した医療を志向しています。
急性期の精神科医療をはじめとして、依存性、神経症・うつ病への包括的専門医療の提供、慢性期精神疾患への積極的リハビリテーション、高齢者の認知症疾患の専門医療、重度慢性の身体疾患をもつ症例の長期療養など、地域において医療の必要度が高い分野を受け持っています。また、近年、急速にニーズが高まってまいりました。発達障がいに代表される思春期の患者様に対する専門医療や在宅医療を支える訪問介護を強化しております。
地域に開かれた医療機関として、今後とも、着実な歩みを続けてまいります。
2000年に開設された当院は、患者さんの約9割が鳥取市内の急性期病院からの紹介で入院されるという入院医療主体の病院です。重度・慢性期の病状で長期療養が必要な方、ならびに急性期の病態から回復の時期にリハビリテーションを行う方、さらにはアルツハイマー病に代表される認知症の方への医療が3つの柱となります。
病院は多職種協働のチームで患者さんの治療にあたり、心身ともに健康を快復していただくことを目標としています。また、外来部門として認知症疾患デイケアを備えるほか、認知症対応型共同生活介護グループホームを併設しています。
2008年、当院は回復期リハビリテーション病棟を開設、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の体制を大きく拡充しました。現在では、新たに入院される方のうち約半数が在宅復帰を目指してリハビリテーションを行う患者さんとなり、地域の皆様に対してますます重要な役割を担うようになりました。
高齢化の進展に伴い、患者さんが増加してゆく傾向にあるなか、今後も地域の皆さまのお役に立てる病院として努力してまいります。
お年寄りや障がいをお持ちの方に対して、医療と福祉が連携することで、よりきめ細かく充実した対応を行うことができます。
当法人では、病気や障がいをお持ちの方が安心して暮らせるように様々なサポートを行ってゆきます。
ストレスの多い現代社会、深刻化する高齢化社会の中でひとりひとりの気持ちを大切にしたやさしい医療を提供したい。患者さんと、ご家族と、地域といっしょにこころと人生の健康を目指し私たちは地域に開かれた医療を行っていきます。
昭和28年 4月
渡辺病院を開設(神経科、精神科)
昭和31年 5月
精神衛生法に定める県指定病院に指定となる
昭和45年 9月
医療法人に改組
昭和45年 9月
渡辺 元 が理事長に就任
昭和57年 12月
渡辺 憲 が院長に就任
昭和61年 3月
診療科目に神経内科を新設
平成6年 6月
平成9年 5月
スプリングハウス開設(精神障がい者グループホーム)
平成11年 3月
診療科目に外科を新設
平成12年 3月
老人性認知症疾患デイケア(北センター)をウェルフェア北園渡辺病院に移転
平成12年 3月
日笠 親績 がウェルフェア北園渡辺病院 病院長に就任
平成12年 4月
渡辺 元 が理事長を退任し相談役に就任、渡辺 憲 が理事長に就任
平成12年 10月
特別医療法人の認可をうけ『明和会医療福祉センター』に名称を改める
平成13年 2月
サマーハウス(精神障がい者福祉ホーム・精神障がい者地域生活支援センター)を開設
平成13年 2月
精神保健福祉法による応急入院指定病院に指定
平成13年 10月
オータムハウス(認知症対応型生活介護施設)を開設
平成14年 4月
精神保健および精神障がい者福祉法による応急入院指定病院に指定
平成14年 7月
認知症疾患医療相談センターを開設
平成15年 3月
特定医療法人の認可をうけ、『特定・特別医療法人 明和会医療福祉センター』に名称を改める
平成15年 5月
鳥取県東部圏域精神科救急医療システム事業実施要綱 第5に基づく精神科救急医療施設に指定
平成16年 3月
新医師臨床研修病院に指定
平成16年 10月
協力型臨床研修病院に指定
平成16年 10月
診療科目に内科を新設
平成17年 2月
ウェルフェア北園渡辺病院が鳥取県東部圏域地域リハビリテーション支援センターに指定
平成19年 1月
新南館 竣工
平成20年 10月
社会医療法人の認可をうけ、『社会医療法人 明和会医療福祉センター』に改組
平成21年 4月
鳥取県認知症医療センター開設
平成21年 4月
サンフラワー開設(障がい福祉サービス事業所、共同生活介護・共同生活援助施設)
平成22年 12月
メイプルリーフ(精神障がい者グループホーム)開設
平成23年 3月
スプリングハウスB 開設
平成24年 4月
スプリングハウスA 開設
平成26年 3月
ヒルサイドハウス開設
平成26年 12月
ファウンテンハウス開設
平成28年 2月
東館 竣工
平成28年 11月
本館 竣工
平成29年 11月
新北館 竣工